2012年5月25日金曜日

Dry and Wet Gardenのお手本 Beth Chatto Gardens




二つの大きく異なる条件下でのPlantingが楽しめ、

ナ-サリ-も充実!

(ただしCafeでの食事はお勧めできません)

SageEryngium giganteumの組み合わせ

ここ、The Beth Chatto Gardensは大きく三つに分けることが出来ます。

Gravel Gardenには乾燥に強い植物が育ち、照りつける太陽の光の中で植物が輝いています。

Water Gardenの4つの池の周りには、しっとりと落ち着いた雰囲気の植物。

Woodlandでは春先の球根が木々の根元を彩ることから始まり、秋の紅葉の時期まで訪れる人々を楽しませてくれます。


鉢植えのSedum類を集めたエリア


←HeucherellaCarex、共に銅色で合わせてありました。








渋い葉の色のRosa glaucaと、グレ-色の幹が美しいEucalyptusの組み合わせもセンスが感じられます。 (右写真)

以上がGravel Gardenの様子。乾燥に強い植物が植えられています。場所によっては「△年〇月よりこのベッドには水やりをしていません」というプラカ-ドが立っていました。




Thalia dealbata



 右の写真はWater Gardenの一画。池の周りにはギボウシ、アジサイ、シダ、アスチルべ等がボリュ-ム感たっぷりに植えられています。


ガ-デン巡りをする楽しみの中に、今まで知らなかった植物に出会う
喜びがあります。
今回はこちら、Pimpinella major 'Rosea'(写真上と左)。花の付き方がAchilleaに似ていますが、こんもりとしたかたまりになって半日陰で咲いていました。このようなやさしい色合いの植物は日陰を明るくしてくれます。
植物辞典で調べたところ、耐寒性も強く、育てやすい品種のようです。この他に濃いピンク色あり。
ここのナ-サリ-は何処よりも充実しているように思います。同じ種の植物でも微妙な色の違いで、欲しかったり要らなかったりするものですよね。そんなこだわり派の人には、本当にお勧めのナ-サリ-。カタログショッピングも出来ます!


Filipendula vulgaris 'Multiplex'
上の写真は左の植物についての詳細が書かれたプラカ-ドです。丁寧に植物の性質、好む土壌、花期などが書かれていて、購入の際に役立ちます。

Filipendulaだけでも9種類の品揃え!きっとお目当てものに出会えるでしょう。






Achilleaもこんなに種類が多く扱っているところは他にないんじゃないかと思うほど、種類豊富。10種類以上もありました!下の写真の微妙な色合いをご覧ください。ありきたりのノコギリソウからは想像できない洗練された色合いのものを見ること・買うことができます。
Achillea 'Inca Gold'



Great DixterやSissinghurst、 Hidcote Manorといった有名ガ-デンには歴史ある、趣のある建物がバックグラウンドとして庭を引き立ててくれていますが、ここでは残念ながらその点は期待できません。1960年にオ-プンしたこのガ-デンは元々荒地で、更に現在Gravel Gardenとなっているところはオ-プンしてから25年間はゲストの駐車場だったそうです。何も無いところからでもこのような美しいガ-デンを作り出すことが出来るという良いお手本です。庭造りは結局、情熱ですね!
このガ-デンの詳しい情報はこちらhttp://www.bethchatto.co.uk/

2012年5月4日金曜日

ハイシ-ズンのSissinghurst



観光バスが列を成すハイシ-ズン

前回に引き続きSissinghurstです。ハイシ-ズンともなると大型バスが何台も乗りつけ、海外からもガ-デン愛好家が大挙して入場します。そうなるといい写真も撮れませんし、植物名を確認しようと思ってもそのネ-ムタグまで近づくことも難しい。でも、この時期のSissinghurstを逃すわけにはいきません。

Rose Gardenに続く扉 
手前にクレマチス、奥につるアジサイ
私のお勧めは二つ。一つは朝一番でOpenと同時に入場するようにします。駐車場に10分前には車をとめて、まさに開門を待ちかまえる体勢で。そして入場したら脇目もふらずにWhite Gardenに直行します。同じことを考える人はいるもので、White Gardenを独占することは無理ですが、混雑する前に写真だけでも撮ることは可能です。大型バスでのビジタ-の多くは、ガ-デン+ランチもしくはランチ+ガ-デンとスケジュ-リングされていますから、当然レストランは超満員。駐車場近くにあるカフェも相当、混み合います。ハイシ-ズンにランチに時間をかけるのはもったいない!ここのレストランは確かにおいしい食事を提供するので、寄りたい気持ちになりますが、ここはぐっと堪えてカフェでサンドイッチで我慢です!



二つ目のお勧めは、閉門前の時間です。イギリスの夏は日が長いですから、閉門前といってもまだ明るいですし、日が低くなることで、良い写真が撮ることができます。この頃には、ビジタ-の数もぐっと減っています。帰宅時間が遅くなっても構わないなら、こちらのプランの方がゆっくり見て回れるし、大きな声では言いたくありませんが、実はお勧めなんです。                                                  




左の写真はMain Houseの壁に育つカルフォルニア ライラックCeanothus 'Southmead'







右はWhite Gardenのシンボルツリ-。
Weeping silver pear (Pyrus salicifolia 'Pendula')がこんもりと茂っています。


小雨の降る朝のWhite Garden

珍しく手に入りにくい品種ばかりではありません。緑のNicotiana 、白のNigella 、Rosa 'Iceberg' など普通のナ-サリ-で入手可能なものも多く取り入れられています。自分の庭の一画をWhite Gardenにしてみるのも変化をつけるのに良い方法かもしれません。








下のDionysus(ディオニソスの像)はWhite Gardenから対角にあるHerb Gardenの近くの川のほとりに立っています。 


Rose Gardenの壁に美しく這わせてあるイチジク。イチジクをClimberとして利用するケ-スは日本にもあるのでしょうか?私は日本では見た事がありません。
イチジクの仕立て方で感銘を受けたのは、Pashley Manorです。機会を見つけていずれご紹介します。


右の写真二枚もRose Garden。



Alliumとバラのコンビネ-ションは王道。色、背丈等の相性を考えて、いろいろ試してみたいものです。




写真を撮るとき、建物を少しでも写しこむことで、植物だけよりも写真としての雰囲気がでることがあります。

 


左は私の好きなSunken Garden.

Lower Courtyardから続いていますが、一段掘り下げて低くしてあります。葉の色、大きさ、形状にバリエ-ションを持たせれば華やかな色がなくても、しっとりとした落ち着きのあるコ-ナ-を演出することができます。
他の名のある庭園のSunken Gardenと比較してみるのも面白いですよ。






まだまだご紹介したい植物や写真もあるのですが、きりがないのでこの辺で。是非、自分の目で見てその魅力を堪能してください。



2012年3月2日金曜日

フォトジェニックなガ-デン Sissinghurst

カメラを持って出かけよう!!春になり、本格的にガ-デン巡りの季節がやってきたら、まずは何処に出かけたいですか?写真を撮るのが好きな方なら、Sissinghurstがお勧めです。Openする春先から入場が許される秋まで、シ-ズンを通してよい写真が撮れます。 背景が素晴らしいので、どこからでもシャッタ-が押せるのです。16世紀のレンガ造りの塔・建物や、美しく刈り込まれたYew Hedgeが背景として活躍してくれるからプロ級の腕がなくても、かなり満足のいく写真が撮れますよ。
春先に訪れるなら見所はLime Walk。球根がいっせいに咲き、灰色一色の景色を華やかに変えてくれます。イギリス人が待ちに待った季節です。
Lime WalkはSissinghurstの中で唯一、Haroldが独りでPlantingも担当したセクションです。簡単にこのガ-デンの歴史に触れてみましょうか。ここはVita とHaroldの二人が結婚して、荒れ果てた土地を買ってガ-デンを作り上げたという経緯があります。当時、この土地を買うかどうかで迷ったことが分かる手紙が残っています。「この土地の値段は£12.000、でも更に£15.000はかかるだろう」とあります。かなり荒れていたことが伺えます。この夫婦は子供を成し、ガ-デンを作り上げるという共通目的は持っていたものの、決して仲の良い普通のカップルだったわけではありませんでした。(お互いに同性に興味があったということです)
このLime Walk以外のほとんどの庭で、Haroldがハ-ドを、Vitaがソフトを担当してこのSissinghurstを作り上げました。


図書館の壁面に咲く、Chaenomeles 'Knap Hill Scarlet'             この図書館に、上記にあるようなこのガ-デンの歴史を親切に教えてくれるボランティアのおばさまがいますので、興味のある方は是非、のぞいてみてください。

Sissinghurstで一番新しいセクションのWall Gardenも春に見頃を迎えます。(右写真)ブル-を基調とした色合いのPlantingで、塀で囲まれた一つの孤立した空間がカ-ペットを敷き詰めたように埋め尽くされています。



Nutteryも又、春には特別な表情を見せてくれるガ-デン。
季節によってガラッと雰囲気が違うのがお分かりになると思います。




←春先はブル-ベルやその他、背の低い球根類で埋め尽くされます。





春本番から夏にかけてはシダが元気。(写真上)
私はシダの新芽を見るのが大好きです。フレッシュな緑色の葉の先がくるっとなっているのが、なんともかわいらしくて。赤ちゃんが手をグ-の形にしている感じでしょうか?









秋は木々の葉の色も変わり、シダも茶色に変色して、全体に落ち着いた色合いに。(写真右)
これまた趣があって、シャッタ-押したくなりますよね。



今回は春先の様子をメインにご紹介しましたが、次回はハイシ-ズンのSissinghurstを取り上げたいと思います。お楽しみに。


Sissinghurstについて書かれた良い本をご紹介します。
'Gardening at Sissinghurst'  by Tony Lord
ISBN 978-0-7112-0991-6








2012年1月28日土曜日

バラを見る庭 Mottisfont Abbey



バラの仕立て方に注目

Graham Stuart Thomas
監修したロ-ズガ-デン




バラ好きの人でMottisfontを知らない人はいないでしょう。そう言ってもいい程、バラで有名なガ-デンです。ということで、今更私がMottisfontの説明をする必要もないと思いますので、今回はここのバラの仕立て方に絞ってご紹介することにします。前回のSissinghurstのブログ同様、冬のバラの手入れに役立てていただけたらと思います。


例えばこの角材で出来たポ-ルを利用した仕立て方。とてもシンプルですが、このようにいくつか連続させて植えることで、効果倍増です。


写真はどれも4月と6月の様子を比べています。





















上のRosa 'Gold finch' は丸太で四角柱を作ったものに誘引してあります。この方法、東京に住む実家の父も実践しています。バラを立体的に見せるのに効果があります。





大きな木に誘引されたRosa 'Mme d'Arbay'
根元はこのようになっていたわけです。(写真左)
バラが木登りをするための梯子のようなものですね。





















Rosa'Pergolese'
枝を四方に低く引っ張り、地中に埋め込んだ杭に枝を結びつけて固定させています。水平にメインの枝をキ-プすることで、ここから上へその先のステムが伸び、やがて花が咲くころにはド-ム状に形が整うわけです。


Rosa 'Pebutaante'

赤いコ-トを着た老婦人、ベンチに座ってガ-デンを眺めています。この時期(4月)、まだバラは咲いていません。こういったパブリックに公開しているガ-デンは冬に来る見物客のことも考えて、常緑のTopiaryやHedgeを効果的に配しています。








バラで有名なガ-デンですが、もちろん宿根草や一年草も種類豊富。ガ-デナ-としては参考にしたい、バラとの組み合わせを見ることができるわけです。

このガ-デンを訪れるなら、バラのハイシ-ズンである5月、6月をお勧めします。

このガ-デンの詳しい情報はこちら↓
http://www.nationaltrust.org.uk/main/w-mottisfont/

2012年1月10日火曜日

Sissinghurst の冬支度

Sissinghurst初の試み
「ガ-デナ-達による冬の手入れを公開&ヘッドガ-デナ-によるレクチャ-」
このイベントにFlying Usagiさんと参加してきました。
このイベントはSissinghurstの一般公開が終了し、来シ-ズンのための準備に入ったその様子をみせてくれるという、ガ-デン愛好家にとっては垂涎の催しでした。
内容は大きく分けると、芝生、Hedge、宿根草ボ-ダ-、バラの4項目。それぞれのスペシャリストが実際に手入れしている現場を見学し、説明を受けました。

ヘッドガ-デナ-のAlexis Datta
普段は見ることの出来ない温室の中も案内してくれました





重しの付いた糸を垂らして
Hedgeを直立に仕上げる
HedgeはSissinghurstにとって欠かせないもの。きれいに刈り揃えてあるHedgeを背景に、それぞれの植物が美しく映える様に計算されているからです。高さも厚みもきっちり測って刈り込みます。計測した数字も詳細に記録して来シ-ズンに残すそうです。
17年間ここの芝生を担当しているTroy Smit

 芝生に関しては、条件が日本とは違うので参考になり難いかもしれません。共通の悩みとしては、やはり雑草でしょう。芝生が元気であれば、雑草が交じることも少ない、そして芝生を元気に保つには、土中に空気を入れてあげることが大切。肥料や水だけではなく、芝生に穴をあけて空気を入れることがポイントだそうです。












ここまで高くなると、つるバラの剪定は恐怖心との戦いではないでしょうか?はしごの根元をみると、きちんと滑り止めが施されていました。バラを植えるときは、剪定や肥料をあげるときのスペ-スを考えておかなければならないことをお忘れなく!





バラの仕立て方についても説明がありました。バラを広げるように仕立てるのに使われているのは、栗の木の枝をア-チ状に曲げたもの。バラの枝を丁寧に栗の木に誘引しています。腐り難い栗の木は、ここSissinghurstに生えているものを使用しているそうです。




上の写真はホワイトガ-デンの様子。目玉でもあるRosa mulliganiiは以前より枝振りが貧弱になってきたので、ド-ムの反対側にもう一本植えてあります。世代交代の日が近づいているのでしょう。

宿根草担当のガ-デナ-もこの時期は大忙し。ポットにはカバ-をかけ、寒さによるひび割れを防ぎます。ウサギ除けには小枝を使って植物を守ります。ダリア類等寒さに弱い植物は掘り上げ、グラスハウスに移動させます。それにもちろん土に栄養をあげたり、マルチングしたりと今が春先の次に忙しい時期というのも納得です。





ゲストのいないガランとしたSissinghurstを見られただけでも貴重な機会でしたが、有意義なお話も聞けたし、ランチもおいしかったし、大満足の一日でした。きっとこのイベント、大好評につきこれからも度々催されるのでは?期待しましょう!
それぞれのスペシャリストから話を聞いて、来シ-ズンここに戻ってくるときには、今までよりもっと楽しめそうな気がします。

Sissinghurstの詳しい情報はこちら↓ ここからEventをチェックすることができます。