2011年11月30日水曜日

新しい風が吹くカントリ-ガ-デン Woolbeding Gardens

見学に予約が必要、
自家用車禁止の面倒な庭、
それでも行く価値ありのNational Trust

このガ-デンはSir Simon Sainsburyと彼のパ-トナ-であるStewart Grimshawの二人が1972年よりNational Trustから借りて作り上げました。名前からお分かりでしょうが、ス-パ-マ-ケットのSainsbury'sの創業者一族です。
オ-ソドックスなイングリッシュガ-デンに新しい要素を取り入れた、ユニ-クなガ-デンです。






基本的なデザインは、チャ-ルズ皇太子の庭Highgroveを手がけたLanning Roperという人によるものです。更に後年、私のブログで何度か取り上げている、Bannerman夫妻を起用してWoodlandのデザインを任せています。また、Water Sculptorとして世界的に有名なWilliam Pyeの作品も取り入れています。




右の写真がCedraと作品名が付いているWilliam PyeによるWater Featureです。ステンレススチ-ル製で、水はその肌を伝わるようにして流れ落ちます。水の音はほとんどありません。Water Featureには水の音を楽しむものもありますが、これはむしろ水の流れを見て楽しむ噴水です。


Woodland部分を除けば、このガ-デンはテ-マごとにRoomで分けられています。左の写真の「プ-ルの部屋」も右の写真の「キッチンガ-デンの部屋」もHedgeで仕切られ、覗いてみるまでは中の様子がわからず、次はどんな部屋だろうと好奇心を煽られます。








さて、ここからはこのガ-デンの端に位置するWoodland部分をご紹介します。木々がうっそうと茂り、日陰に映えるギボウシやシダがしっとりとした雰囲気をつくりあげています。


Hermit's Hut


Bannerman夫妻のデザインの何が気に入っているのかと問われれば、手作り感があって、ユ-モアがあって、どっしりとしていて、オリジナリティ-が感じられるところ、でしょうか。
たとえ、自分の庭にはふさわしくなくても、気に入るデザインがあってもいいと思います。そこからヒントを得て、別の形で活かせることが出来れば、それに越したことはないし、また自分の好きなデザインを知るだけでも、それはそれで価値あることだと思います。
Hutの中も手作り感にあふれた丁寧な仕上げ。
The Hut


ロンドンで行われた、2010年のアジア象のためのチャリティ-イベントを覚えている方もいらっしゃるでしょう。数々のア-ティストが作った象がロンドンの路上にディスプレイされていましたね。その中の一頭がここWoolbedingにもらわれていたのです。残念ながら、これがNational TrustのアイディアなのかBannerman夫妻のデザインの一部なのか、わかりません。でも居心地良さそうにしているのですから、ここに飼われて大正解ということでしょう。
このガ-デンは一般公開している期間も曜日も限られているうえに、予約が必要、自家用車不可です。近くのNational Trust Propertyから送迎バスが出ています。(その予約も必要です)
詳しい情報はこちら↓

http://thegallopinggardener.blogspot.com/2011/04/new-jewel-in-britains-gardening-crown.html

William Pyeの他の作品がご覧になりたい方はこちら↓
http://www.williampye.com/

2011年11月11日金曜日

一番お世話になっているガ-デン RHS Garden Wisley



車で20分強で行けるWisley,
私が最も足しげく通うガ-デン。
ガ-デンデザインの学校に通っている間は、図書館にも随分お世話になりました。



Rock Garden


Wisleyは植物の名前を正確に、そして見易く表示していて、園芸学を勉強している人や植物の正式名称(ラテン語名)を知りたい人にはとってもありがたいガ-デン。
もちろんデザインを学んでいる人、興味ある人にとっても魅力ある所です。子供と一緒に行っても楽しめます!


Achillea 'Credo'




Cottage Garden に憧れてイギリスに来た私も、
数多くのガ-デンを見学し、デザインを勉強するうちに、
理想とする庭に対する考えが変わってきました。
今まで気づかなかった自分の好みも、はっきりしてきました。
Wisleyには様々なスタイルのガ-デンがあろので、
自分の好みのスタイルを見つけるのにも役立ちます。

Trials Field




右の写真は植物試験場の様子です。一つの植物でもこんなにバラエティ-があるんだと、素直に感心してしまいます。奥にA3(高速道路)が走っていて騒音がひどく、ここはいつもガ-デナ-が黙々と働いている姿を見かける以外、ほぼ無人状態。


AGM Borders




AGMというのはAward of Garden Meritの略。いわば、ガ-デンに植えるのに優秀な植物であるとRHSから認められた称号のようなものです。そのAGM Plantsで構成されたBorderが左の写真。優秀な植物が集まっているわけですから、見てお得・知ってお得のお勧めスポットです。きっと自分の庭に合う植物を探すことが出来るはず。
Perennial Meadow

Fritillaria imperialis






Allium 'Purple Sensation'


ここの図書館はRHSのメンバ-なら誰でも無料でLibrary Cardを作ることが出来、そのカ-ドがあれば本を借りられます。ガ-デン関係の本や雑誌がずらっと並んでいる本棚、ワクワクしますよ。
本を借りたり、読んだりするだけでなく、PCを使って特定の植物がこのガ-デンのどのエリアの何番ベッドに植わっているのかを調べることも出来ます。先生が授業で取り上げたあの植物は実際、どんな植物なのか?現物を見てみたい!というニ-ズに応えてくれる、優れもののシステムです。
ここのBook Sale もお勧め。このライブラリ-で必要なくなった古本を売りに出すのですが、本によってはかなりのお買い得価格が付けられています。アマゾンで買うより状態がわかる分、安心して買うことが出来ます。

Glasshouse Border in April





左の写真以降は私が今、最も注目している
Piet Oudolf のデザインしたBorder。私の第一回目のブログでご紹介したBury Court Gardensと同じデザイナ-です。ここWisleyで私の一番好きなところ。季節によって様相がガラッと変わるので、何度行っても楽しめます。
Glasshouse Border in July
Glasshouse Border in August
このBorderはRHSが、よりナチュラルに、そしてコンテンポラリ-なデザインを求めPiet Oudolfにデザインを依頼しました。果樹園からGlasshouseへと続く150mのなだらかな坂に、このデザイナ-独特のDouble Borderがあります。ここにはよくイギリスのガ-デンに見られるHedgeもなければ、Wallに囲まれているわけでもありません。Borderの背景として、様々な種類のShrubを利用しています。そうすることで、主役である宿根草とより多くの色のコンビネ-ション、高低差を活かした組み合わせが生まれます。宿根草の種類だけでなく、Plantingの方法にも一味あり。違う種類の宿根草同士を混ぜて植えています。当然ながら、これにはメインテナンスや花期の違いも考慮に入れる必要があります。一見、典型的なEnglish Borderより、大雑把な印象を受けるでしょうが、計算しつくされたBorderなのです。
このガ-デンの詳しい情報はこちら↓

2011年11月10日木曜日

卒業生の庭  Trotton Place

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House and Water Feature
学んだことを自分のガ-デンで実践できる羨ましい環境

Entrance to the Wall Garden



ここは私が卒業したガ-デンデザインの学校の過去の卒業生の庭。授業の一環で見学させてもらった時の写真です。

このガ-デンには、フルタイムのガ-デナ-がいて、とても管理が行き届いています。
Wall Garden
↑ 面白い形のア-チ。思わず、奥を除いてみたくなります。手前のボ-ダ-を「ハの字」にしていることで、これまた、人の視線を奥に引き込むことに成功しています。
Lawn Surrounded by Shrubs and Perennials

Wall Gardenの中はいくつかのパ-トに分かれています。上の写真は宿根草のボ-ダ-の様子。

右の写真は、渦巻き型に仕上げた芝生で、周りをShrubや背の高い宿根草でめぐらせてあります。ぐるっと一周、芝生のベンチとして使うことも出来るわけです。周りを囲まれた、寛ぎの空間です。広い庭があったら是非、取り入れたいデザインです。
House and Box Balls
このガ-デンは前回ご紹介したTidebrook Manorと同様、日本の個人宅とは比較にならない大きさです。Wall Gardenのほかに、テニスコ-ト、プ-ル、池、Meadow、キッチンガ-デンなどがあります。
家の中から見る眺めはどうでしょう。デザインする時、家のどの窓からの眺めを重要視するのかは一つのポイントです。1階のダイニングからの眺めを優先させるのであれば、家から遠すぎない所にForcal Pointをもってくるべきでしょうし、2階の寝室からの眺めを優先させるのであれば、ある程度遠くの方が効果があるでしょう。
池のほとりの濃紫色の葉を持つ木、Fagus sylvatica 'Purple Fountain' が池全体の風景を引き締めてくれています。できればもう1本、池の対岸にもあればもっと良いのになと、個人的には思いますけど。
↑ テニスコ-ト脇のボ-ダ-。こちらはGrassが目立つ秋向けのPlantingです。暖色系、ロマンチック系、ホワイトボ-ダ-と言ったように、 花壇を色で分けるのもいいですが、ベストを迎える季節に変化を持たせるのも一案だと思います。


残念ながらこのガ-デンは公開されていません。

2011年11月4日金曜日

Great Dixterにゆかりある庭 Tidebrook Manor

Christopher Lloyd Scholarshipへの寄付イベント
オ-プンガ-デンでファンドレイジング
Long Border



このガ-デンのヘッドガ-デナ-は元Great Dixterで働いていたEdward Flint。その関係でGreat Dixterとの関わりがあり、毎年迎える奨学生のためのファンドレイジングに、このガ-デンを開放することで協力しています。この日、小切手を持参している年配の方が大勢いるのを見て、イギリスらしさを感じました。
Edwardは私の通っていた学校の「園芸学」の講師でもあります。Great Dixterのヘッドガ-デナ-、Fergus Garrettもそうですが、とても庭仕事について熱く語る方です。二人ともその口ぶりから、庭がとことん好きであることが良く伝わってきます。



上の写真はダイニングから出てすぐのテラスの様子。とても浅いボ-ダ-で、色々な種類のセダムを植え、カ-ペットのように仕上げています。


このガ-デンのオ-ナ-は子供のいる家族で、ロンドンを離れて週末をカントリ-サイドで過ごすために、4エ-カ-の庭を管理するガ-デナ-付きの邸宅を所有。プ-ル、クリケットロ-ン、テニスコ-ト、池、Tree House、キッチンガ-デン、馬小屋を改造したホ-ル等、日本では考えられない個人宅です。
Fire Place
寒い時期も庭を楽しめる工夫です
自分の庭にこんな遊び場があるなんて・・・。
ここの子供たちが羨ましい。

私がこのガ-デンで一番気に入ったのがこのBarn(馬・家畜小屋)とその周辺。中はモダンな内装が施してあり、レクチャ-やホ-ル等にも使えるようになっています。大きなガラス窓からの眺めは、言葉は悪いですが「ぼさぼさガ-デン」とでも名付けたくなる、野趣豊かな景色が広がっています。ズバリ、私の好み。
ぼさぼさガ-デン内のベンチ











Great Dixterの奨学生を援助するために、自分の庭を公開して 寄付を募る。
そしてそれに賛同する人が大勢いる。
こういう流れがイギリスの素晴らしいガ-デンを作っているのだと納得させられました。

このガ-デンはNGS(The National Gardens Scheme)に加盟しています。
詳しい情報を知りたい方はこちら↓








2011年11月2日水曜日

抜群の色合わせ Pashley Manor Gardens


チュ-リップの時期には
必見の庭

もう、球根の植えつけは終わりましたか?
ここは是非、参考にしていただきたい
ガ-デンです。

沢山種類があって、形も色も背丈もバラエティ-に富んでいて使いでがありそうだとは思いますが、実を言うと私はチュ-リップにあまり興味がありませんでした。
オランダのキュ-ケンホフに行っても、スケ-ルに驚くことはあっても、却ってチュ-リップ畑という印象でガ-デンという意味での興味を持てないでいました。
このPashley Manorはそんな私のチュ-リップ感を大きく変えたガ-デンです。




同系色で合わせた紫色のチュ-リップとアリウム(写真一番上)、フワフワした紫色のフェネルの向こうにスッスッと伸びる赤いチュ-リップ(写真すぐ上)。
チュ-リップと相性の良い組み合わせをたくさん見ることが出来ます。

左の写真のように、バックとなるShrubもチュ-リップの種類を選ぶ上で重要なポイント。この場合はチュ-リップ(オレンジ色と黄色)もShrubの葉(茶色と緑色)も2ト-ン同士で、共に暖系色でまとめられています。



ヒュ-ケラがこのガ-デンでは多く使われています。
渋い色が特徴のヒュ-ケラはチュ-リップの良い引き立て役。
(写真右と下)







 メギの濃い色がチュ-リップの淡いピンク色をきれいに見せてくれます。
(写真右)




 
 イギリスでは長い灰色一色の冬から春を迎える喜びに、人々は色とりどりのチュ-リップを愛でるのでしょう。そしてチュ-リップが咲く時期は、動物たちの誕生の時期でもあります。このPashley Manorに行くとチュ-リップが楽しめるだけでなく、子ガモや隣の牧場の子羊達にも会えるのです。うれしいオマケ付き。

  
ヘラボレス(クリスマスロ-ズ)との相性もいいですね。
もちろん双方の背丈のバランスに注意が必要です。
(写真右)

ロ-ズマリ-の葉の持つ銀色の光沢感も、
チュ-リップの花びらの艶にエコ-して
効果的な組み合わせだと思います。(写真下)


サ-モンピンクのチュ-リップと、
このユ-ホルビアの組み合わせも
センスの良さを感じます。
(写真右) 











このガ-デンのチュ-リップは100種以上。ほとんどのチュ-リップは一年草扱いだそうです。22,000個の球根を植える作業は気が遠くなりそうですが、やはりこれだけクオリティ-を揃えて咲かせるには、植えっ放しでは無理なのでしょう。


今回、チュ-リップを取り上げていますが、このガ-デンは他にも見所が沢山あります。でもそれは別の機会に紹介させてください。
このガ-デンの詳しい情報はこちら↓
http://www.pashleymanorgardens.com/