2011年10月29日土曜日

ア-トコレクタ-の庭 Arundel Castle





Bennerman夫妻のデザインで
中世のガ-デンを再現!!

このガ-デンを取り上げるのは、私がBennerman夫妻のデザインに今、興味があるという個人的な思いからです。チャ-ルズ皇太子の庭Highgroveの回でも少し触れましたが、大変個性的なデザインをするので、注目しています。確かに作りが、良く言えば重厚感があり、言葉を変えれば「ごつい」という表現が当てはまり、個人の庭に配するには相当な広さが必要になります。それでも惹かれるのは、独創的なアイディアに魅力があるからでしょう。

このガ-デンのBannerman夫妻がデザインしたフロントガ-デン部分は2006年に造られました。それまでは駐車スペ-スとして使用されていた2エ-カ-の土地をフォ-マルガ-デンに作り変え、ThomasHowardへの賞賛の証としようという計画の下、進められました。ThomasHoward(1585-1646)という人は、14代Arundle伯爵で美術品収集家として知られた人です。その収集品の多くは現在Norfolk公一家が住む、このArundle Castleにて観ることができます。Thomas HowardはInigo Jones(イギリス初とも言われる建築家)を重用し、イタリアへの美術収集の旅にも同行させました。
そのInigo Jonesの設計したロンドンの
Arundel Houseの庭の再現をここで目指しました。
Bennerman夫妻お得意のGreen Oakを石に見立てる独自の手法。石造りのような重厚感があり、それでいて木の持つ温かみが感じられる、それがこのフロントガ-デンの独特な雰囲気を醸し出していると言えると思います。そしてPlantingもそれに沿ったコンセプトで、大ぶりな葉が目立ち、大胆な色使い。ア-トコレクションのため、世界を駆け回ったThomas Hawardにふさわしく、珍しいシダ類、やしの木、バナナの木等、「集められた植物」がところ狭しと植えられています。

左はド-ム型のパ-ゴラ。これは、Daniel Mytensという画家がThomasとその夫人Alatheaのポ-トレ-トを描いたその背景を元に再現されたものです。回廊の奥にガ-デンがあるようですが、小さくてわかり難いでしょうか。とにかくデザイン、仕上がり共に素晴らしいパ-ゴラです。
Thomas Howard, 2nd Earl of Arundel and Surrey, by Daniel Mytens, circa 1618 - NPG 5292 - © National Portrait Gallery, London
Thomas Howard, 2nd Earl of Arundel and Surrey
by Daniel Mytens
circa 1618
NPG 5292
Alathea, Countess of Arundel and Surrey, by Daniel Mytens, circa 1618 - NPG 5293 - © National Portrait Gallery, London
Alathea, Countess of Arundel and Surrey
by Daniel Mytens
circa 1618
NPG 5293

 

左のWater Featureもポ-トレ-トから復元を目指したものです。Plantingは葉物がメインで、ほぼグリ-ンだけの色合いですが、鉢植えで季節の花を見せてくれます。

下の写真のWater Featureは1611年にInigo JonesがデザインしたOberon's Palaceを復元した建物の中にあります。
Dancing Crown Fountainと呼ばれるように、金色の王冠が水の吹き出る部分のすぐ上に備え付けられ、水の出る圧力でクルクルと回転する仕組みになっています。

フロントガ-デン以外の部分も少し、ご紹介しましょう。こちらはイギリスのカントリ-サイドでよく見られるタイプの庭です。Hedgeで小部屋風に仕切られたカラフルなBorder、様々な形のトピアリ-、キッチンガ-デン、グラスハウス、ロ-ズガ-デン、等です。因みに、ここのキッチンガ-デンもオ-ガニック。どこへ行ってもオ-ガニック、大流行です。
Arundel Castleの観光の目玉でもある、
Fizalan Chapel前に広がるMeadow Garden。
矢車草が咲き乱れていました。
去年はポピ-を植えていたのでしょう。
こぼれダネから育った苗がちらほら。


Arundel Castleは敷地がかなり広い上に、ガ-デンのあるところまではずっと上り道です。かなり時間をみて、見学されることをお勧めします。そしてポイントはフロントガ-デンにあることをお忘れなく!!
このガ-デンの詳しい情報はこちら↓

2011年10月22日土曜日

美術館スタイルの庭 Laskett Gardens





Victoria & Albert Museumと
National Portrait Galleryで館長を務めた
Sir Roy Strongのプライベ-ト・ガ-デン、公開!
Sir Roy Strong
私が卒業したガ-デンデザイン学校の卒業生有志でLaskett Gardensを見学する機会がありました。卒業しても、ちょくちょく集まる機会があるのは、中に一人、面倒見のよい人が居るから。○×○×のExhibishonは面白いよ、○×○×のガ-デンは素晴らしいよ等の情報を一斉メ-ルしてくれます。クラスメ-トも団結力があり、今回のこのGardenVisitingもクラスメ-トの一人がある画家と知り合いで、そのつてで計画・実行に至りました。よい仲間に出会えたことは、学校で学んだデザインそのものと同じぐらいの価値があると実感しています。

さて、このLaskett Garden、「美術館ガ-デン」のような印象を見る人に与えます。それもそのはず、右写真のヒゲの立派な初老の男性は、14年間Victoria & Albert Museumの館長をされていた大美術史家で、彼が妻(Julia Trevelyan Oman、舞台芸術家、ロイヤルオペラハウスのバレエ、くるみ割り人形の舞台も彼女の作品の一つ、2003年に他界)と共に作り上げたフォ-マルガ-デンなのです。
ビクトリア女王と アルバ-ト公に挟まれたSir Roy
V&A Museum Temple

V&Aの館長を辞するときに贈られた
記念プレ-ト(左の写真)
ユニ-クな贈り物ですよね。
テンプルの壁に飾られています。(上の写真)

Rose Garden

Covent Garden
まず目に付くのがオ-ナメントの数と、庭中に張り巡らされた回廊と、それを作り出すHedgeの多さです。このガ-デンには二人の庭師がいますが、この尋常でない量のHedgeをトリミングするのは、至難の業でしょう。彼がチャ-ルズ皇太子のためにデザインしたHighgroveの複雑なHedgeは毎年刈り込むのに3ヶ月かかるそうです。相当なHedge好きで、こだわりをお持ちです。
Birthday Garden

Ashlon Arbour

夫妻がこの土地を買い求めたのは1973年。引っ越した直後は、ガ-デンを作ろうとは考えていなかったそうです。けれども隣の農家が土地を手放すことになり、それを機に敷地を広げてガ-デン作りをスタ-ト。潤沢な資金も労働力も無く、その上、ロンドンでの仕事が大変忙しかった二人が時間をやり繰りして、都会の喧騒、仕事のストレスから離れるために自分たちの世界を創ろうと、庭造りに打ち込むことになりました。
庭造りのポイントは空間をコントロ-ルすること。光と影のコントラスト、色やテキスチャ-の組み合わせを考えること。花は庭の構造の装飾である、とRoyは考えています。一方Juliaは、植物そのものを愛し、60種類のリンゴの木をはじめとする植物の収集に情熱を傾けました。
限られた資金で自分たちの理想の庭を造ろうと、様々な箇所に工夫を凝らしました。タイルの代わりに割ったせとものを使用し、トレリスやパ-ゴラもカタログの取り寄せ品を使用しています。苗木も小さいものを植えて成長するまで辛抱強く待ち、オ-ナメントも購入する余裕ができるまで、場所をキ-プしておき、庭のデザインをしたそうです。
Meldar Tunnel

http://www.myles-lea.com/
冒頭で触れたクラスメ-トの友人の画家のサイトです。イギリスの邸宅やガ-デンの絵を描いています。このLaskett Gardensを始め、以前に紹介したHighgroveやThe Manor Houseの絵もサイトで見る事ができます。とても雰囲気のある絵を描く画家です。
Kitchen Garden

私個人の趣味としてはこれだけ沢山のオ-ナメントは多すぎる気がしますが、確かにLaskett Gardensには熱い思いが凝縮されているのでしょう。各ガ-デンに与えられた名前や、各記念碑、また亡くなった愛猫のモニュメント迄にも、オ-ナ-の愛情が注がれていて、見る人にそれが伝わってきます。
このガ-デンの詳しい情報はこちら↓
http://www.thelaskettgardens.co.uk/

2011年10月15日土曜日

チャ-ルズ皇太子の庭 HIGHGROVE GARDENS


 チケットを取るにも一苦労
セキュリティ-の厳しい
Highgrove Gardens
 このガ-デンの特徴はチャ-ルズ皇太子の私邸であるのでセキュリティ-が厳しいこと、オ-ガニックにこだわっていること、世界各国または国内から寄贈されたものがガ-デンにちりばめてあること、またデザイナ-も多く起用されていること。見るところ満載の盛り沢山ガ-デンです。



チケットを取るには電話かインタ-ネットで申し込み。Open Dayが限られているので、なかなか予約を取るのも大変です。
でも、苦労しても充分行く価値ありです。
現地ではまずPoliceによる検問。予約名簿に照らし合わせて、写真付きIDの提示が必要です。私はDriving Licenceで済みましたが、娘はパスポ-ト持参で行きました。
チェックは厳しいですが、おまわりさんはとても友好的。"Enjoy the gardens!"と笑顔で送り出してくれます。
上に見えるのはタイムウォ-ク(Thyme Walk)。石畳の両脇にタイムが敷き詰められています。そして様々な形のトピアリ-。各ガ-デナ-に一つずつトピアリ-を好きなように仕上げるよう、任せているのだそうです。形は王冠や渦巻き、プリン型、玉ねぎ型など様々です。

右はJulian BanermanのデザインしたWild Gardenの中のWater Featureです。Lime stoneの上にGunneraが植えられた、大変興味深いデザインです。
Julian & Isabel Banermanは石や木を使用した特徴あるGarden Structureを創造するデザイナ-。私の一押しです。いずれ又、この夫婦のデザインしたガ-デンをご紹介したいと思います。

下はThe Temple of Worthies。
Green Oakに小さな穴をドリルし凹凸を付けるのが
Banerman流。周りに木の根っこを積み上げることで、
他から遮られた一つの空間を作り出しています。










木の根っこを使ったア-チ↓






Banermansの他にも、Rosemary Verey(Barnsley House)がCottage GardenのPlantingを、Sir Roy Strong(Laskett Garden)がYew Hedgeや庭に置く銅像のアドバイス、Lady Salisbury(Hatfeild House)がWalled Gardenをはじめ、様々なパ-トでチャ-ルズ皇太子に助言といったように、まるでガラ公演。スタ-デザイナ-の仕事ぶりが所々に見られるのです。
デザイナ-達が豪華なだけでありません。スペイン王室からは巨大な壷、歌手のスティングからはFlower Meadowに植える球根4000個、エルトン・ジョンからはCottage GardenのCatalpa Tree、そのほかオマ-ンのサルタンや各国、各地からの寄贈品が 見られます 。ガ-デンの見学はボランティアのツア-コンダクタ-と共に2時間かけてまわります。(単独見学は許されていません)親切でお喋り好きなコンダクタ-さんに当たると、色々な情報を教えてくれます。               

春のOpen Garden時にはガ-デンツア-の後、生ピアノを聴きながらのAfternoon Tea with Champagne付きのチケットを購入しました。Bookletも付けて一人£72.65、秋はツア-のみのチケットで£16.50。
チケット代はPrince’s Charities Foundationにいく事になっているそうです。
ガ-デン内は完全にカメラ禁止。今回のブログの写真は左の1枚を除いて全てインタ-ネットからの写真です。
チケットは小冊子と共にリボンがかけられ、美しい箱に入って届きました。

このガ-デンの詳しい情報が知りたい方はこちらhttp://www.highgrovegardens.com/




2011年10月7日金曜日

ヌ-ディストの庭? Abbey House Gardens




オ-ナ-が超個性的、
驚きのガ-デン!!

まずはこちらのサイトをご覧ください。






 サイトをご覧になりましたか?そうなんです。
オ-ナ-ご夫婦のPollardさんはNaturalist。
私が見かけた時は、お二人とも全裸ではありませんでしたが、やはり露出度はかなり高かったです。
ほぼNakedでありながら、長靴を履いて庭仕事をしている姿はなんだかあまりにも現実離れしていて、
「おかしい」とか、「変わっている」という表現は適さない、
一種独特な雰囲気を醸し出していました。





上の写真はLaburnumのトンネル。下に植えられたAlliumとの組み合わせは、Rosemary Vareyの庭、Barnley Houseでも見られる有名なMatchingです。

オ-ナ-夫人がかわいがっているカメ。日向ぼっこ中です。
意外な生き物に、このガ-デンを訪れる人もついつい引き寄せられます。

右はパ-ゴラで大きく囲われたHerb Gardenの様子です。木製のRaised Bedに様々なハ-ブを中心とした植物が育っています。下の写真からもわかるように、とても丁寧な作りで、釘が表面から見えないように工夫されているのです。こういう小さなこだわりを見つけると嬉しくなります。度肝を抜くような強烈なキャラクタ-のオ-ナの庭でありながら、こういうところにも手をかけるというギャップも面白いと思います。



↑ Fire BowlをWater Featureとして使用。グリ-ンだけでなく、これが一つあるだけで、ずいぶん庭が引き締まります。 
上はKnot Gardenの様子。
Buxus、Berberis、Alchemilla mollisの3種を使って変り種のKnot模様が見られます。 
← Upper Lawnのチェスボ-ド


Knot Gardenの端に立つ
鬼(?)のトピアリ-→
このガ-デンの半分はWild Garden。
小川にはオ-ナ-手作りの橋がかかり、
堅苦しさの無い心安らぐ空間になっています。














このガ-デンの詳しい情報をお知りになりたい方は
一番上のサイトをご覧になるか、下記のサイトでどうぞ。