2011年9月28日水曜日

Jekyllの庭が復活 The Manor House

Formal Flower Beds
荒れ果てていたこの邸宅を、かつての有名女性園芸家、
Gertrude Jekyllがデザインしたその当時の庭に完全復元。

Tennis Lawn(一番下のステ-ジ)から見たHouse
堅苦しい説明はなるべく省くとして、少しだけこのガ-デンの背景について説明します。1908年、Gertrudeが65歳のときに、当時起こったArts and Crafts movementの指導者Charles Holmeのためにデザインした庭です。
現在のオ-ナ-が1984年にこの家を買った時は家も庭も荒れ果てていて、ここが歴史的価値のある家だとは知らなかったそうです。アメリカに渡っていたGertrude Jekyllのデザイン画を取り寄せ、その当時そのままの姿に復元しました。


3段目の階段から見るHouseとパ-ゴラ
GertrudeはHouseから下っている斜面を
Dry-stone Wallで3段のステ-ジに分けました。
一番下がTennisとBowling Lawn。
二番目がバラや芍薬のフォ-マルガ-デン。
三番目、つまり一番上ですが、そこはテラスになっており、Oak材に船に使われるロ-プを渡したパ-ゴラが立ち、それが庭の奥へと見る人の視線を導く役割を果たしています。

Bowling Lawnから見たDry-Stone Wall




広さは5エ-カ-。このFormal Gardenのほかに、Kitchen Garden、Nuttery、Woodland Walk そしてWild Gardenがあります。

 鶏が放し飼いにされていて、至る所で見かけます。お母さんの後を追いかけるChicksの姿、とってもかわいいです。Gardenに生き物が居るっていいなと思います。


Kitchen Garden
Formal Flower Beds


 Kitchen Gardenは切花用の植物や、
Formal Borderの補充用の植物の苗床として使用されています。
また種から育てられた一年草も
このKitchen Gardenで見る事ができます。






Wild Gardenへの入り口

Wild Garden内の池
Wild Gardenにはまだ当時の木々が残っています。春には水仙で一面覆われますが、中にはGertrudeのPlant Listには無い、新種の水仙が交じっています。そして新種水仙のみが、この庭で唯一、その当時とは違うPlantingなのだそうです。
隣の教会へのゲ-ト
このGardenを復元したオ-ナ-であるRosamund Wallingerさんの熱意には頭が下がります。テラスの一画に収集したGertrudeのデザイン画や、Gardenを復元していく過程の写真から成る、資料館があります。

ここのPlantingは今では、やはりオ-ルドファッションなのかもしれません。しかし、このGardenはそれでいいのだと思います。イギリスには数え切れないほどのPrivate Gardenがあり、その中でひとつ、ここのように100年以上変わらない庭であり続ける、それがThe Manor Houseの価値と言えるでしょう。 

このガ-デンの詳しい情報を知りたい方はこちら。

 


2011年9月27日火曜日

校長先生の庭 Sandhill Farm House







私がガ-デンデザインを学んだ学校の
校長先生の庭をご紹介します。


広さはFront Garden 0.5エ-カ-、
Back Garden 0.5エ-カ-の合計で1エ-カ-。

日本では充分、広い庭と言えますが、なるほど先生がおっしゃるように、イギリスの郊外にしてはこじんまりとした庭の部類に入るでしょう。

庭をテ-マごとに、いくつかのパ-トに分けることで
変化を持たせ、大きく無いながらも、見る人を飽きさせません。

東京の狭い庭でも、応用できるアイディアだと思います。狭いからといって、変化の無いデザインにするより、むしろ狭いからこそテ-マごとの違いが見て取れるデザインを取り入れる。
自分の庭に特徴を持たせることもできるはずです。








上の写真はHot Colour Borderの様子です。


写真を掲載しきれないのが残念ですが、
ポタジェ、Grass border、Woodland Garden、池、Knot Garden、Gravel Gardenなど、盛り沢山。








庭に配するベンチ、ガゼボ、椅子、バ-ドハウスなどの色合いは、近くに植えられる植物や、周りとの相性を考えます。部屋からよく見る庭の視界を引き立たせてくれるのは、どのような色合いなのか?

こういったStructureは庭の写真を撮る際のEye Catchになります。周りの植え込みに埋もれてもいけないし、目立ちすぎるのも逆効果。さりげない主張をしてくれるのが理想です。




こちらはFront Garden。

木については別の機会に触れたいと思いますが、ここで少しだけ。
この白樺、先生は白色を引き立たせるため、1年に数回、幹をこすり、つるつるになったところで、リンス(シャンプ-後に使用するあのリンスのことです)を薄く幹に塗り付けているのだそうです。
そのせいなのか、本当にスベスベで気持ちよかったです。






ベンチの後ろに立つ木はPrunus serrulaです。
ベンチと共にゲ-トをくぐった後のEye Catchになっています。
この木の幹は下の写真を見ていただければわかりますが、とても個性的。
この木は落葉樹ですが、むしろ実力を発揮するのは冬場です。
周りがグレ-1色になるイギリスの冬、モホガニ-色の光沢ある幹はとても目立ちます。

庭は季節を通して楽しみたいという欲求に応えてくれる、ありがたい木と言えると思います。





先生の庭にも流行のMeadowがあります。
背景に溶け込むようにフェイドアウトしていて、広がりが感じられますね。癒しの景色です。


この庭で毎年、学生たちが測量の実習をします。担当は別の教師ですが、校長先生が生徒たちに手作りランチをご馳走してくれます。おいしいです!




秋になってもアジサイがこの状態。



このガ-デンの詳しい情報はこちらです。
http://www.rosemaryalexander.co.uk/garden.asp


2011年9月24日土曜日

Grassを多用したBury Court Gardens




最近の私の一番のお気に入りガ-デン、Bury Court Gardensをご紹介しましょう。
秋に訪れるのにぴったりの、Grassを多用した洗練されたガ-デンです。メインガ-デンは、Piet Oudolf というオランダ人デザイナ-によるもの。このデザイナ-特有の素晴らしい色合いが活かされています。










このFront Gardenは30%がGrass類。
秋に訪れるのが楽しみなガ-デンです。

Grass類やその他主な宿根早は2月までそのままにしておくそうです。
植物にうっすらと霜が降りた早朝の景色、
雪が降り積もった様子が冬場の庭の楽しみとなるからです。

だからあえて花がら摘みをせずに、その輪郭を愛でようと、咲き終わったままの姿を、冬に残しておくのです。

Taxus(Yew)やBuxus(Box)などの常緑植物を使った、冬に楽しめる庭作りについては別の機会にとっておきます。










このガ-デンでは毎月の最後の水曜日に Plantsman's Day というレクチャ-を開催しています。
8月は「Grassに合う宿根草選び」というテ-マでした。
色合いやテクスチャ-、背丈などの相性を考えた上での選択で、大変勉強になりました。

9月は「自然志向ガ-デンのためのPrairie Plants選び」だそうです。

最近、Meadow Gardenが見直され、個人宅でも一画を草原風に仕上げているのを見かけます。

9月のレクチャ-も、きっと有意義な内容だろうと期待しています。

レクチャ-自体の参加料は£5。ここでランチをすることも可能です。(£12.5)
体に優しい メニュ-で、デザ-ト付です。
お勧めです。


 残念ながらレクチャ-は9月で年内最後。
来年は4月から再開予定だそうです。

















 








こちらはフロントガ-デン。
実に70%がGrass類です。
これはChristopher Bradley-Holeがデザインした庭。
真ん中にWater Featureを配し、
あとはほぼGrassだけという
一風変わったガ-デンです。
Bury Court Gardensの詳しい情報を知りたい方は下記のサイトをご覧下さい。http://www.burycourtbarn.com/gardens_home.php